IFRS18号、2027年強制適用の衝撃
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IFRS18号、2027年強制適用の衝撃

IAS第1号を刷新するIFRS第18号が2027年1月以降に強制適用。営業利益の再定義・MPM開示義務化で、日本の上場企業(時価総額ベース約49%)への影響は広範囲に及ぶ。


IAS第1号を刷新、8年越しの大改革

2024年4月、国際会計基準審議会(IASB)は新基準「IFRS第18号 財務諸表における表示及び開示」を公表した。従来のIAS第1号に代わるもので、2027年1月1日以後に開始する事業年度から強制適用となる。3月決算の日本企業は2028年3月期が初年度だ。

なぜ今、改定が必要だったのか

IAS第1号には「営業利益」の厳密な定義がなく、企業ごとに内容がバラバラで同業他社との比較が実質困難という状態が長年続いていた。また、企業が決算説明資料などで独自に使う「調整後EBITDA」「コア利益」といった非GAAP指標(MPM)は算定方法が不透明で、監査の対象外だった。IASBはこれらの問題を解消すべく、約8年をかけて本基準を開発した。

3つの主要変更点

損益計算書の区分整理 — 「営業」「投資」「財務」「法人税」「非継続事業」の5区分に再編。営業利益・財務及び法人税控除前純損益の2小計が新たに必須となる。これにより受取利息や持分法損益の分類が変わり、現行の営業利益数値が変動する企業が続出する見込みだ。

MPMの注記開示義務化 — 財務諸表の外で公表してきた独自業績指標が、注記として財務諸表に取り込まれ監査対象となる。算定根拠・IFRS小計との調整表の開示が必須で、指標変更時は理由と遡及影響の開示も求められる。

情報の集約・分解ガイダンス強化 — 情報が過多になりがちな注記を「集約しすぎず、細分化しすぎず」整理するための原則が明確化される。

日本企業への影響は?

日本取引所グループによると、2026年3月時点でIFRS適用済・適用決定企業は計311社。時価総額ベースでは東証全体の約49%を占める。損益計算書の組み替えに加え、管理会計システムや役員報酬指標の見直し、IRコミュニケーション変更と影響は多岐にわたる。国内ではワールド(3612)が2026年2月に早期適用を表明した初の事例として注目されている。

まとめ

IFRS第18号は「財務業績の比較可能性と透明性の抜本的改善」を目的とした制度変更だ。適用まで2年を切った今、対応の遅れはIRや内部管理体制に直接響く。早めの影響範囲の洗い出しが求められる。


【参考資料】

IASB「投資者による企業の財務業績の分析を支援する新たなIFRS会計基準」(2024年4月9日) https://www.ifrs.org/content/dam/ifrs/news/2024/ifrs-18/ifrs-18-japanese-version.pdf

企業会計基準委員会(ASBJ)プレスリリース翻訳 https://www.asb-j.jp/jp/iasb_activity/press_release/y2024/2024-0409.html

日本取引所グループ「IFRS適用済・適用決定会社一覧」 https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/ifrs/02.html

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