初鰹と戻り鰹、旬を食べ分け
News

初鰹と戻り鰹、旬を食べ分け

年に2度うまいカツオ。4月前後の初鰹と10月前後の戻り鰹を、焼津や枕崎など代表港とおすすめの食べ方で整理する。


春の魚売り場に並び始める「初鰹」と、秋の終わりにかけて話題になる「戻り鰹」。カツオは年に二度、はっきり表情を変える魚だ。農林水産省は、黒潮に乗って太平洋を北上する初夏の個体を初鰹、秋に南下した個体を戻り鰹として紹介している。前者はさっぱり、後者は脂が乗ってもっちり。この違いを知るだけで、売り場での選び方はかなり変わる。

まず、4月前後から初夏にかけての初鰹は、春らしい軽さが持ち味だ。脂は控えめで香りが立ちやすく、薬味との相性が良い。農水省の広報誌でも、初鰹にはたたきがおすすめとされる。表面をさっと炙り、みょうが、大葉、しょうが、玉ねぎを重ねて食べると、赤身の清涼感がまっすぐ立つ。厚切りよりもやや薄めに引いたほうが、この時期の良さは出やすい。

一方、10月前後の戻り鰹は、北の海でえさを食べて戻るぶん、脂の厚みが別物になる。身に弾力があり、口当たりも濃い。こちらは刺身を厚めに切る食べ方がまず本命だが、表面だけ火を入れるレアステーキや、にんにくを利かせたたたきにも向く。春は「香り」、秋は「脂」。同じカツオでも、食卓で主役になる理由が違う。

産地に目を向けると、代表港の個性も見えてくる。焼津市は公式サイトで、焼津港で水揚げされるカツオの水揚量は日本一と説明する。刺身や藁焼きのたたきだけでなく、鰹節や缶詰まで幅が広く、迅速な処理と船上での急速凍結によって鮮度の高さを支えているという。春の初鰹をさっと食べたい時に、焼津の「鮮度で勝負する」強みは分かりやすい。

もう一つの代表格が鹿児島県の枕崎だ。枕崎市は「かつお製品」の紹介ページで、刺身やタタキに加え、腹皮の塩焼き、せんじ、なまり節など、カツオを幅広く食べる港町の食文化を案内している。春の軽い身は薬味を利かせてさっと、秋の濃い身は厚めに切ってしっかり、という食べ分けを覚えるなら、枕崎の料理案内は良い手本になる。

店頭で迷ったら、赤身の色と切り方で選びたい。初鰹は薬味を合わせる前提で短時間のたたきや漬け、戻り鰹は脂の層を楽しめる厚切りの刺身やステーキ向き。年に二度の旬を「同じ魚の別シーズン」として追うと、同じ魚でももっと面白くなる。カツオは、季節の移り変わりまで味に乗せて届く魚だ。

出典

農林水産省「18年11月号 文字情報」https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1811/characterinformation.html

焼津市「絶品!『焼津の海の幸』」https://www.city.yaizu.lg.jp/business/suisan-nougyo/fisheries/sea/seafood/index.html

枕崎市「かつお製品」https://www.city.makurazaki.lg.jp/soshiki/suisan/360.html

関連記事