地震に強い水道管は、水もおいしい?
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地震に強い水道管は、水もおいしい?

耐震化率42%にとどまる日本の水道管。管の素材次第で地震被害の差は大きく、実は水の味にまで影響することが分かってきた。


日本の水道管の耐震化率、いまだ42%

厚生労働省の最新調査(令和4年度)によると、全国の基幹管路の耐震適合率はわずか42.3%。2028年度末に60%以上を目指す国の目標に対し、大幅に遅れている現状だ。地震大国・日本において、断水は命に直結する問題だけに、管材の選択と更新は急務となっている。

水道管の種類と耐震性の差

水道管の耐震性は素材と継手構造によって大きく異なる。

鋳鉄管(グレイ鋳鉄管) — 明治18年の横浜市水道から使われてきた歴史ある管材だが、硬くて脆く地震動で容易に破断する。現在は新設禁止、布設替えの対象だ。

硬質塩化ビニル管(VP管) — 戦後の水道普及を支えた安価な管材。しかし可とう性が低く、阪神淡路大震災(1995年)で大量の離脱・破断被害が確認され、耐震性の低さが改めて問題視された。

ダクタイル鋳鉄管(GX形・NS形継手) — 現在の基幹管路の主力。球状化された黒鉛組織により衝撃靱性が高く、受口内部のロックリングが地盤変状による管の抜け出しを防ぐ。内面にエポキシ粉体塗装やモルタルライニングが施されており耐腐食性も高い。

配水用ポリエチレン管(PE管) — 現在最高水準の耐震性を持つ管材。管と継手を電気融着で一体化する構造のため、継手部の離脱が起きにくい。新潟中越地震・東日本大震災・熊本地震でほぼ被害ゼロという実績があり、小口径配水支管への採用が急速に広がっている。

実は「水の味」にも直結する

管材は耐震性だけでなく、毎日口にする水の味にも影響する。古い鉄管・鋼管では水中の塩素が錆を促進し、鉄臭・金属味の原因となる。朝一番に赤みがかった水が出た経験がある人は、まさにこれだ。

一方、ポリエチレン管は腐食せず溶出物が極めて少ないため、水質が安定しやすい。ダクタイル鋳鉄管も内面ライニングにより水と金属が直接触れない設計になっている。

なお「カルキ臭い」と感じる場合は管材ではなく、消毒用の残留塩素が原因であり別の問題だ。しかし管材が老朽化すると錆臭と相まって風味が落ちやすくなる。地震に強い管への更新は、水のおいしさの向上にもつながるのだ。

まとめ

耐震性の高さは「ポリエチレン管 ≧ ダクタイル鋳鉄管(GX形)> 塩化ビニル管 > 旧型鋳鉄管」の順とされる。老朽管が多く残る地域では、布設替えの進捗に目を向けることが、いざという時の断水リスクと日々の水の味、双方に関わってくる。


【参考資料】

厚生労働省「水道事業における耐震化の状況(令和4年度)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38800.html

国土交通省「水道施設の耐震化の推進」https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/watersupply/stf_seisakunitsuite_bunya_topics_bukyoku_kenkou_suido_taishin_index.html

東京都水道局「水道管路の耐震化」https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suidojigyo/suidoukanro10

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