今日はエイプリルフール、嘘の線引き
4月1日の由来は諸説。定番の冗談を振り返りつつ、SNS時代に冗談で済む範囲と注意点を整理したい。
今日は4月1日、エイプリルフール。アラシックスともなると人生で60回前後も体験しているであろうイベントの1つだ。基本は軽い冗談を楽しむ日として定着しているが、その由来は意外にはっきりしていない。米国議会図書館の歴史新聞ガイドでは、1900年の新聞記事がすでに「なぜそう呼ぶのか、本人たちにも分からない」と書いていたことを紹介している。つまり、起源はひとつに定まっているというより、古くから続く習俗が複数の説とともに受け継がれてきた、と見るのが実態に近い。
歴史的には、存在しない用事を頼んで人を走らせる、食べられない物をそれらしく出す、といった軽いだましが定番だったとされる。現代ではこれが、企業アカウントによる架空新商品、あり得ない機能追加、友人同士の小さな勘違いネタへと姿を変えている。エイプリルフールらしい“ウソ”として受け入れられやすいのは、後からすぐに冗談だと分かり、だまされた側に実害が残らないものだ。
逆に、冗談で済まない線を越えると空気は一気に変わる。政府広報オンラインは、偽・誤情報の投稿や拡散が偽計業務妨害や損害賠償責任につながる可能性を明記している。災害、事故、営業停止、病気、逮捕、倒産といった重大情報を“ネタ”として流す行為は、その典型だ。本人が冗談のつもりでも、第三者が本気で受け取り、拡散した時点で影響は冗談の範囲を超えやすい。
もう一つの注意点は、個人情報と誹謗中傷だ。IPAは、SNSでは友人向けのつもりの投稿でも第三者に個人を特定される恐れがあると注意を促している。住所、行動予定、勤務先、家族関係、病歴、恋愛関係のような話題を“オチ付きの冗談”に使うのは危険だ。相手の評判を落とす話や、本人確認の取りにくい暴露も同様で、笑いよりも不信感と実害が先に立つ。
今年のエイプリルフールで線引きをするなら、基準は単純だ。相手が後で笑えるか、第三者が誤解しても困らないか、個人情報や信用を傷つけないか。この三つを満たさない“ウソ”は、もうイベントではなくリスクになる。4月1日を楽しい日として残したいなら、驚かせるより傷つけないことを優先する方が、いまの時代には合っている。
出典Library of Congress April Fools' Day: Topics in Chronicling America政府広報オンライン インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!IPA SNSにひそむワナ!